幅広杉板の天井

幅広の杉板を天井に施工しました。
すべて同じ1本の丸太から製材したもので、幅は90cmあります。
節もあり、味わい深い、存在感のある天井になりました。

この板は10年前の2009年6月に製材したものです。
この度、板に裏桟加工を施し、目透かしで天井に割り込みました。
(これまでの天井は建材が世に出回り始めた頃のもので、素材の劣化がかなり進んでいました。)

杉は日本古来の、日本だけに生育する樹種であり、風の強い日本であっても天に向かってまっすぐ伸びるすぐれた性質のため、スギ(直木)と呼ばれた木です。
肥えた土によく育ち、成長が早いため、戦後荒れ果てた山に復興のためにその植林が奨励されました。
しかしながらいつの間にか日本の建築には、杉材をはじめ、無垢の木は使われなくなりつつあります。
その原因の一つとして、日本の木の文化は木の表面のみに価値を認めるものになっているのではないかと思います。
無節、上小節、一等など、表面の節の大きさと数により等級が決められ、価格もそれに比例しています。
無節の木材が高価になり使いづらく、けれども表面の高級感は追求したいとの思いで、表面にスライス板を貼り付けた集成材が多くなってきたのだと思います。
節がある木には自然の味わいがあります。
節があるからといってわざわざ隠すのではなく、もっともっと本物の木を表に出し、住まいの素材としての「木」、そして「木の家」の喜びを享受・供与できるように働きかけてまいりたいと思います。


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