古建築の吹抜けと小屋組みあらわし

今年は例年以上に伝統的な木造建築を訪れる機会が多くあります。
今回は、その中でも吹抜けや小屋組みがあらわされている建物に着目してみたいと思います。

上の写真は、今月(5月)に訪れた福井県南越前町の中村家住宅。
中村家は、地主として農業を営む一方、北国廻船業に早くから乗り出し、同じ河野の北前船主である右近家と並んで日本海五大船主に挙げられる有力商人になったそうです。
主屋が明治20年に新築され、大正2年に離れが増築されました。
正面の玄関式台と大戸口が並ぶ格式の高い構えをつくっています。大戸口から入ったところに土間ニワがあり、その上り縁の先はダイドコロです。ダイドコロは板張りで、中央部に太い6本の柱を立ち上げ、梁組をあらわにして吹抜けの高大な火袋を作っています。その他、囲炉裏や井戸、薪棚等が設けられています。
吹抜けがあることによって、暗くなりがちな屋敷の中央付近にも光が注がれます。

左は慶應3年に移築された3つの蔵を改装した三福蔵(レ・トロワ・アントゥルプ)。愛知県小牧市にある土蔵ギャラリーです。2月に訪れました。
右は明治時代の古民家、愛知県美浜町にある旧森田定吉邸。レンタルスペースとして改修され、先日プレ公開されました。
いずれも、吹抜けに改修し、明るいスペースになっています。

こちらは2月に訪れた横浜市の建物。
左は横浜市指定有形文化財である旧長沢家住宅。
江戸時代の部材を用いて丘陵南側の山裾部に復元された茅葺の古民家です。
天井が高く、吸湿性・保温性・通気性・断熱性に優れ、高温多湿な気候である日本の夏に適しています。
右は三殿台遺跡の竪穴式住居。
道具が少ない時代になるべく労力を使わずに作られた住居ですが、半地下式ということもあり、一年を通して室内の温室度差がないように造られたという説もあるそうです。

こちらはカフェです。
左は土蔵を改装した蔵Cafe。岐阜県川辺町。
右は古民家カフェ。中山道宿場本陣の近くで旅籠屋を営んでいた古民家を改修。岐阜県御嵩町。
いずれも吹抜けにすることにより、心落ちつき、そして凛とする空間でした。

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